オヤジの夏休み
連日の速足散歩で通る徳島大学の裏の道、この時季でも学生さんの数がとても
多い。みんな帰省しないのだろうかと思う。教授や講師らしき人の姿も多くて
大学の施設内は「夏季休暇」の気配がまるで無い。ゼミへと急ぐ学生がいたり
ブカブカドンドンと楽隊が練習しているクラブハウスもある。とにかく活気が
あるのだ。そんな校内を歩いていてオヤジは自身が学生だった頃を思い出した。
今振り返れば、オヤジは母校の「夏季休暇」の様子を全く知らずに終えた事に
なる。場合によったら７月に入る前に帰省して来たり、９月に入ってから登校
したりする事もあった。なにしろ学校が休みに入ると直ぐに帰省し、無線機を
箱から出し、アンテナを上げて無線三昧の毎日だった。とにかく朝から晩まで
マイクや電鍵に向って交信し続けた記憶しか無い。母親のお乳が恋しい訳では
決して無かったが、周りの者からはよく冷やかされたものだった。無線通信が
一番楽しい時期であった上、下宿には近場しかコンタクト出来ない無線機しか
なく、日本全国や地球の裏側まで電波が届く無線通信がしたくてしたくて我慢
出来なかったからである。そんな無線熱も、いつしか徐々に覚めてしまったが
今また再び復活の兆しだ。やはり出来ない環境に陥ると無性にしたくなるのだ。
年寄りに大きなアンテナは難しいが何とか仲間の協力を得て、再び設置したい。
大学の校内を歩きながらそんな事を色々考えたが、若いって本当に素晴しいと
思う。ところで徳島大学が賑やかな理由が分かった。休みは８月からだそうだ。
一ヶ月夏休みがズレるのは良いのか悪いのかどっちだろうか。不思議な感覚だ。
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