消え行く想い出
突然家の外から大きな音が聞こえて来た。何かと思って見ると、近くのお宅の
解体作業が始まっていた。我が家よりも大きく立派なお宅だったが、ユンボの
力は一瞬でその姿を壊して行く。実はこのお宅、オヤジが小学校3年生当時の
担任の先生宅である。母親が亡くなる少し前まではお一人で生活されていたが
先生が亡くなってからは空き家になっていた。オヤジより2年ぐらい下級生の
息子さんが居たが、住まいが遠く離れていて、オヤジのように帰って住む事も
無かったのだろう、とうとう取り壊しになったと言う次第だ。オヤジの場合は
ブロック塀を崩しただけでも何処か「グッ」と来るところがあったが、やはり
見慣れた景色が変わって行くのは他人事でも何故か悲しい部分がある。こんな
感じで、知っているお宅やご近所さん達が次々に変って行ってしまう。年月は
景色を変え、人の心を変えると言われるが、オヤジが幼稚園に入園するころに
借家から今の場所に引っ越し、なんやかんやで70年近い年月が経ったわけだ。
その内のほとんどを他県と県内でも別の場所で暮らしたオヤジは、都合ここの
場所では10年少々しか暮らしていない計算になる。ある意味全くのよそ者だ。
これから家主としてどんな生活が待っているかは分からないが、元気で過ごし
更なる変化を見届けて行きたい。近所のお宅の解体にそんな事を思うオヤジだ。
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