もう時効の話し
旅の話しが出たが、いま顧みるとオヤジの中国出張は本当に質素だったと思う。
経費節約を美徳とし何事も1円でも安く切り詰めるべく訓練を受けたオヤジに
とって、転職した後もこの惰性は続いた。新しい会社では、別にこれと言った
制限はなかったにもかかわらず、オヤジの中では節約が身体に染み付いていた。
ほどほどのセキュリティのホテルには泊まって下さいよ、と役員から言われて
いても、温水が出なかったり、クーラーが故障していたり、ネットワーク用の
LANケーブルの断線を、自分で工事してつないだりするボロ宿を転々とした。
上海浦東空港から帰国する前日だけはどう言う経緯だったのか、何故か旧日航
ホテルだった中油大飯店に宿泊したが、まともなホテルは正直そこだけだった。
それに引き換え、お客さまにアテンドをして貰ったときには、北京では長富宮
飯店(ニューオータニ)や上海の海崙賓館(ソフィテル)、杭州では香格里拉
飯店(シャングリラ)など有名なホテルに泊めて貰った。皆さん出張に来ると
こんなところに泊まるのか、と思ったが自分での予約はとうとう出来なかった。
結局、こんな節約をしても誰も褒めてくれなかった。もちろん褒めて貰う為に
やったのではないが、いまごろになって、しまったしまった島倉千代子である。
正直もう少しぐらいは高級なホテルに泊まりたかったな、と今頃になって思う。
これがオヤジの中でチョッとだけ後悔している事項だが、この話ももう時効だ。